第2章 - システムリソース管理
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top (2-3)
top(1) は総合的なリソースと処理状況がリアルタイムで確認するツール。
uptime(1)、free(1)、ps(1) 等の出力を随時表示。
表示項目は、f コマンドで定義可能。 詳細(↓)
| 項目名 | 解説 |
|---|
| PID(A) | プロセスID Process Id |
| PPID(b) | 親PID Parenet Process ID |
| RUSER(c) | 実ユーザ名 Real User name
起動時のユーザ。SUIDがある場合、USERと異なる場合がある。 |
| UID(d) | ユーザID User ID |
| USER(E) | ユーザ名 User Name |
| GROUP(f) | グループ名 Group Name |
| TTY(g) | 制御端末 Controlling TTY |
| PR(H) | 優先度 Priority |
| NI(I) | ナイス値 Nice value |
| P(j) | 直近使用CPU-ID Last used cpu(SMPのみ)
一般に同じプロセスは同一CPUで処理される方が効率がよい。 |
| %CPU(K) | CPU使用率 CPU Usage |
| TIME(l) | CPU使用時間 CPU Time |
| TIME+(M) | CPU使用時間 CPU Time (1/100単位) |
| %MEM(N) | メモリ使用率 Memory Usage |
| VIRT(O) | 使用仮想メモリ容量 Virtual Image size (KB) |
| SWAP(p) | スワップ量 Swapped size (KB)
VIRT = SWAP + RES |
| RES(Q) | 常駐メモリ容量 Resident size(KB)
RES = CODE + DATA |
| CODE(r) | コード容量 Code size(KB) |
| DATA(s) | データ容量 Data + Stack size(KB) |
| SHR(T) | 使用共有メモリ容量 Shared Memory size(KB) |
| nFLT(u) | ページフォルト回数 Page Fault count
メモリ上にないページ参照、Swap In が開始される。 |
| nDRT(v) | ダーティページ数 Dirty Pages count
メモリ上のページで更新されたがディスクに吐き出されていない状態のもの。 |
| S(W) | プロセス状況 Process Status
D: uninterruptible sleep, R: running, S: sleeping, T: toraced or stopped, Z: zombie |
| COMMAND(X) | コマンドライン Command name/line |
| WCHAN(y) | 休眠状態 Sleeping in Function |
| Flags(z) | タスクフラグ Task Flags(sched.h) |
*(a-z)は f コマンド後のフラグ表示トグル。
大文字はデフォルトで表示を表す。
vmstat (2-5)
vmstat(1)はプロセス稼働状況、リソース使用量を随時表示し継続的な監視を行う。
例） startx を起動した直後
procs -----------memory---------- ---swap-- -----io---- --system-- -----cpu------
r b swpd free buff cache si so bi bo in cs us sy id wa st
0 0 25252 47164 3140 36528 0 0 0 0 1003 24 0 0 100 0 0
0 0 25252 47164 3140 36528 0 0 0 0 999 22 0 0 100 0 0
0 0 25252 47164 3148 36528 0 0 0 6 1003 26 0 1 100 0 0
0 0 25252 46528 3220 36876 0 0 208 0 1033 67 0 2 88 11 0
0 1 25252 45112 3476 37440 0 0 388 116 1068 189 3 12 47 39 0
0 1 25252 41936 3688 40016 0 0 1390 0 1077 173 2 5 47 46 0
2 0 25248 38092 3860 43052 64 0 1646 206 1064 151 48 5 0 46 0
0 0 25248 37692 3860 43340 0 0 140 0 1003 28 74 1 24 2 0
0 0 25248 38344 3880 43408 48 0 98 194 1044 67 1 3 93 4 0
0 0 25248 38412 3880 43408 0 0 0 0 1002 25 0 0 100 0 0
項目に関する補足
procs
- r : waiting for un time [ea]
- 実行待ちプロセス。単位時間では実行中プロセス数と同等。
- b : Uninterruptible sleep - usually I/O [ea]
- いわゆる入出力実行中プロセスで、中断不能な状態（ブロックデバイス）
memory
- swpd : swap disk [KB]
- スワップ領域の使用量。基本的に増大する事はなく、その場合はメモリ不足の兆候がある。
- buff: Buffer memory size
- バッファ、低速なデバイスとＣＰＵとの間に介在する緩衝領域。ブロック転送デバイス用
- cache: Cache memory size
- キャッシュ、同一問合せに対しディスクI/Oを行わず、過去のコピーを提供する。
swap
- si/so : Swap IN / Swap Out
- ディスクに吐き出したページをメモリに再読み込み
- メモリを確保するためページをディスクに吐き出す
- * 何れも多く発生する場合はメモリ不足
io
- bi/bo : Block in / out [block/sec = 1KB/sec]
- ディスクからの読込(bi)
- ディスクへの書込み(bo)
system
- in : Interrupt
- プロセスに対するハードウエア I/O完了や時間切れ通知の数
- cs : Context Switching
- CPU を他のプロセスへ付け替えるため、レジスタなどの情報を切り替えた回数。
cpu
- us : user
- ユーザ領域でのCPU使用率(%)
- sy : system
- OS 領域でのCPU使用率(%)
- id : idle
- CPU 未使用率(%)
- wa : wait
- I/O 待ち時間(%)
- st : stole
- VM オーバーヘッド(%)
プロセスの遷移 (2-4)
Linux のプロセスは以下のライフサイクルとなる。
- プロセスの生成
- 親プロセスが fork(2) システムコールにより自身の分身を生成する。
さらに exec(2) により実行イメージを置き換え実行する。
- 実行待ち
- OS は実行可能なプロセスを実行キューにため、順次実行する。
- 実行キューから何を取り出すかは、スケジューラのアルゴリズムによる。
Kernel 2.6.2x では O(1)、2.6.3x 以降では CFS スケジューラとなる。
- 実行
- CPU により実行され、割り当て時間を消費しきるか、割り込みに応じて待ち行列へ移動する。
- 割り込みはシグナルや、入出力要求によるデバイス待がある。
- 待ち行列
- 実行を離れた瞬間プロセスは Wait になるが、最近の Linux では殆ど発生しない。
- SIGSTOP やデバッガ起動のものは、一時停止状態。
- デバイスの空き待ちは、Sleep で中断可能。
- 直接デバイスとやりとり(DMA転送)している物や、デバイス完了まで他の割り込みが禁止されている場合は
D (古くは Disk sleep、DMA 転送中は CPU の手を離れており、その間の中断はできなかったなごり。
- 終了
- プロセスが終了すると、リソースを解放し後処理を行う。
- 後処理
- a)親プロセスに SIGCHILD シグナルを発する。
- 親プロセスは、それを受けプロセス一覧から子のエントリを削除する。wait(2)
- 子プロセス実行中に、親プロセスが終了した場合は原則として init プロセスが引き継ぐ。
-
- b)何らかの理由で SIGCHILD を受取拒否されると、ゾンビプロセスとなる。
- ゾンビプロセスはプロセス一覧に存在するが、実際には何のリソースも消費していないもの。
但しプロセス一覧を大量ゾンビが埋め尽すと、パフォーマンスを低下や最悪の場合新規プロセスが生成できなくなる。
カーネルのメモリ管理 (2-7)
C プログラムと、実際のセグメント
$ cat -n mem.c
1 #include <stdio.h>
2 #include <unistd.h>
3 static int bss[2500];
4 char str1[] = "....+....1....+....2....+....3....+....4....+....5\
5 ....+....6....+....7....+....8....+....9....+....A";
6
7 int main()
8 {
9 char str2[2], *str3;
10 str2[0] = 0x0;
11
12 puts(str1);
13 printf("PID=%d, bss addr=%lx, str1 addr=%lx, str2 addr=%lx\n",
14 getpid(), bss, str1, str2);
15 if( scanf("%s",str2) < 0 ) {
16 puts("scanf(3) error.");
17 }
18 }
$ make mem
cc mem.c -o mem
$ size mem
text data bss dec hex filename
1235 396 10032 11663 2d8f mem
- プログラム本体
- マシン語で書かれた、コンピュータへの指示そのもの。
- 静的データ
- ＯＳが実行プログラムをメモリーに取り込んだ時点で確保されているデータ領域。
- BSS : Block Started by Symbol / 古いアセンブラの命令に由来
- 動的データ
- プログラム動作時に、その要求によって別途確保されるデータ領域
プログラム実行時のメモリマップ
$ ./mem
....+....1....+....2....+....3....+....4....+....5....+....6....+....7....+....8....+....9....+....A
PID=2637, bss addr=8049800, str1 addr=8049760, str2 addr=bfa8643e
(別の端末から)
$ cat /proc/2637/maps
address perm offset dev inode file pathname
006a9000-006c4000 r-xp 00000000 fd:00 622607 /lib/ld-2.5.so
006c4000-006c5000 r-xp 0001a000 fd:00 622607 /lib/ld-2.5.so
006c5000-006c6000 rwxp 0001b000 fd:00 622607 /lib/ld-2.5.so
006c8000-0081a000 r-xp 00000000 fd:00 622615 /lib/libc-2.5.so
0081a000-0081b000 --xp 00152000 fd:00 622615 /lib/libc-2.5.so
0081b000-0081d000 r-xp 00152000 fd:00 622615 /lib/libc-2.5.so
0081d000-0081e000 rwxp 00154000 fd:00 622615 /lib/libc-2.5.so
0081e000-00821000 rwxp 0081e000 00:00 0
00d50000-00d51000 r-xp 00d50000 00:00 0 [vdso]
08048000-08049000 r-xp 00000000 fd:00 995059 /home/student/mem
08049000-0804a000 rw-p 00000000 fd:00 995059 /home/student/mem
0804a000-0804c000 rw-p 0804a000 00:00 0
b7f0d000-b7f0f000 rw-p b7f0d000 00:00 0
b7f1b000-b7f1d000 rw-p b7f1b000 00:00 0
bfa73000-bfa88000 rw-p bffe9000 00:00 0 [stack]
proc(5)より
- perm - メモリのパーミッション
- r : read
- w : write
- e : execute
- s : shared
- p : private
- dev - デバイスファイル
- メジャー番号 : マイナー番号 (16進数)
sysstat (2-14)
sysstat パッケージに含まれるコマンド群
| Command | Description |
|---|
| sar | 定期的に収集したシステム状況の表示 |
| sadf | sar(8)で保存したデータのフォーマッタ |
| iostat | HDD の統計情報 |
| cifsiostat | CIFS(Windows共有)の統計情報 |
| mpstat | プロセスに関する統計情報 |