SAP R/3 システム管理概説

起動と停止

NT 版では、SAP Service Manager により、DB 及び SAP の起動と停止ができる。 前提条件とし以下のものがある。 *) SAPOsCol は OS の負荷情報などを収集する。

起動

起動方法は簡単で次のとおり。
  1. 管理ユーザで Logon
    管理者ユーザは <SID> である。
  2. SAP Service Manager の起動
    NT のメニュー[スタート]→[SAP R_3]→[Service Manager]にて起動
  3. セントラルインスタンス起動
    [START]ボタンを押し、MessageServer、Dispacher が起動された(インジケータが緑) を確認。このとき自動的に DBMS(OracleServiceSID) も起動される。
  4. 追加インスタンスの起動
    CCMS(Computer Center Management System:SRZL) により、セントラルインスタンス から遠隔操作することもできる。ただしこの場合、Remote 側に SIDadm ユーザ の設定などが必要となる。
インジケータは4種類あり、次の意味がある。
インジケータ意味
●緑実行中
●黄起動中
●赤異常終了
●灰正常終了

起動できない場合の原因として次のことが考えられる。

また起動ログなどは、SAP Service Manager の [File]→[ViewTrace] にて参照可能。
	\usr\sap\SID\インスタンス名\work\
File Name意味
sapstart.log/.trc起動時の情報
stderr1*DB,MessageServer, Dispatcher の起動情報
dev_msメッセージサーバの情報
dev_dispディスパッチャの情報
dev_wNワークプロセスサーバの情報。Nは整数
なおトレース情報は取得できる情報量(エラーだけか、ワーニングもかなど)を インスタンスプロファイル中で指定できる。

プロファイル

R3 は起動時にプロファイルと呼ばれるファイルを読み込み、サービスの種類や必要なリソース を決定している。
プロファイルは次の3種類で、場所は
	\usr\sap\SID\Sys\profile
以下にある。
  1. スタートプロファイル
    起動するサービスの定義、システム名、インスタンス名などが定義されている。 ファイル名は次のルールに基づく
    	START_インスタンス名_サーバホスト名
    	インスタンス名 := サービス識別子 インスタンスID
    	サービス識別子 := D V E B M G S
    ex.
    	START_DVEBMGS00_dsty0302
    	START_D01_dsty0304
    
  2. インスタンスプロファイル
    ワークプロセスの割当数、属性、バッファ値などが定義されている。 ネーミングルールは次の通り
    	SID_インスタンス名_サーバホスト名
    ex.
    	K02_DVEBMGS00_dsty0302
    
  3. デフォルトプロファイル
    DB ホスト名や Service Port 番号などシステム全体の定義している。 ファイル名は default.plf である。
これらプロファイルはエディタなどで直接変更せずに、 必ず R/3 の
専用ユーティリティを用いること。
なおプロファイルおよび先出のトレースファイルは「エラーログファイル」(ST11) で参照できる。

停止

停止する場合は次の手順にて行う
  1. 管理ユーザで Logon
  2. 現在のシステム状況の把握
    R/3 停止してもよいかどうか、システムの稼動状況を確認し決定する。 稼動状況は次の手順にて確認できる。
    • バックグラウンドジョブ一覧
      「バックグラウンドジョブの選択」(SM37) で、
      ジョブ名/ユーザ名にアスタリスク(*)を指定し、 バックグラウンドジョブの稼動状況を確認する。
      このとき、実行中、待機中、リリース済みがないかを確認。リリース済みは更に その実行時期を確認すること。 書くジョブの詳細はそのジョブ名にフォーカスを当て、[照会ボタン](F5)を押す。
    • プロセス一覧表示
      「プロセス一覧」(SM50)にて各ワークプロセスの稼動状況を確認する。 また RFC(Remote Function Call) により、GateWay 通信が行われている場合は DIA が実行中となる。
    • ユーザ一覧
      「ユーザ概要」(SM04)により、現在 Logon しているユーザを確認する。 必要な場合は、この画面からユーザを選択(ダブルクリック)し 強制的にセッションを終了させることが出来る。

  3. アナウンス
    必要に応じて、システム停止する旨を「システムメッセージ」(SM02)に登録する。
    このメッセージは Logon 時と、各トランザクションが切り替わる際にポップアップ表示される。
  4. SAP Service Manager 起動
  5. 追加インスタンスの停止
  6. セントラルインスタンスの停止
  7. DBMS の停止
    NT では DBMS は自動終了しない。 コマンド SAPDBA を起動し、メニューに従い終了する。
    もしくは sapdba -shutdown で一気に停止させることも可能。
補足:
裏ワザてきだが、サーバの TP コマンドをつかって、新規 LOGON の抑制が可能である。 LOGON を拒絶された時のメッセージ(アップグレード中という意味)が不適切だが、 新規ログインを抑制するには効果的である。
	DOS> tp locksys	- LOGON の抑止 (SAP*,DDIC は LOGON 可能)
	DOS> tp unlocksys	- locksys の解除

プロファイルのメンテナンス

プロファイルはすでに解説した通り、非常に重要なデータであるためメンテナンスには注意が 必要である。
R/3 では専用のユーティリティ「プロファイル照会」(RZ10)により、履歴管理と文法チェック が可能である。
以下にその操作手順をまとめる。
  1. インポート
    OS 上のファイルを DB に取り込む操作。
    初めて取り込む場合は[ユーティリティ]→[Profileのインポート]→[有効サーバの]を用いて すべてのプロファイルを取り込む。もしすでにインポートされ、その内容が OS File と不一致で ある場合には、その旨が表示される。
    一旦この操作をしておけば、画面のプロファイル名部分にてマッチ検索(F4)が利用できる。
  2. 編集
    編集できる情報には次の3点があり、普段は基本編集を用いるとよい。
    • 管理データ
      ファイルの属性やファイル名など。
    • 基本更新
      よく用いられるパラメータを編集する
    • 拡張更新
      そのプロファイルにあるすべての情報を編集する。
    編集は必要な項目を単純に変更するだけでよい。
  3. 確認
    パラメータを変更したなら、チェックボタン(F8) により 文法チェックを行う。このときエラーがあれば、その行の直下に赤くエラーが表示される。
  4. 有効化(OS ファイルへの吐き出し)
    編集/確認後、情報を保存するとダイアログが表示され、有効化必要の有無が確認されるので、 有効化を行う。
  5. 有効化(設定内容の有効化)
    原則としてプロファイルの内容は R/3 起動時に設定されるため、R/3 を再起動する必要がある。

日々の運用

日々の運用では曜日や時間帯によって必要とされるサービスの内容が変化する。 これに対応するためシステム資源を、たとえば日中は対話サービス(D)を中心 とした設定に、夜間はバッチを中心とした設定にとダイナミックに変更することが可能である。
R/3 ではワークプロセスの種類と数を「操作モード」と言う単位にまとめ、時間を指定して自動的に 変更できるようにしている。

操作モードはインスタンス毎にいくつも用意できるが、対話WP(D)は最低2つ以上 必要である。印刷(スプール)はインスタンスに1つである。
また操作モードをタイムテーブルに割り当てる場合には、 必ず24時間の間に隙間なく操作モードを割り当てること。

CCMS による追加インスタンスの操作

CCMS を使って追加インスタンスの操作と監視が可能となるが、事前にいくつかの情報を定義する 必要がある。まず最初に管理対象となるインスタンスを定義する。

CCMS 画面の[システム設定]→[操作モード/サーバ]により「操作モードとインスタンスの更新」 (RZ04)を表示させる。


*)初期状態ではエントリはない
つづいて[インスタンス変更]ボタンを押す。
[設定]→[有効 Status に基づく]→[登録済みインスタンス]→[システム構成]
「インスタンスデータの更新」画面が表示されたら、[開始ユーザ変更]ボタンを押し、 必要な情報を入力する この操作により、セントラルインスタンスから追加インスタンスの操作、および操作モード設定 が可能となる。

操作モード

操作モードはワークプロセスを幾つ割り当てるかを定義する。インスタンス全体での総量は予め 決められている。 このモードは必要に応じてタイムテーブルに割り当てることができる。

「操作モードとインスタンスの更新」(RZ04)で、新規操作モード(F5)により 操作モード名とその説明を定義する。

内容を保存すると、直前の「操作モードとインスタンス画面の更新」に戻るので、 [インスタンス変更]ボタンを押す。 このときインスタンスと、そこに関連づいたすべての操作モードが一覧表示される。
操作モードタイプは2つあり、
「インスタンスとワークプロセス」
適当なワークプロセスを選択(ダブルクリック)すると、「ワークプロセス配布の更新」画面が 表示されるので、[その他操作モード]ボタンを押し、先に定義した操作モード名を指定する。
この画面では「対話」は操作できない状態になっている。この値を続くワークグループサービスの 数に分配する形をとっている。
たとえばフォーカスをバックグラウンドにあて、マイナス[−]を押せばバックグラウンドの値は 2になり、対話は7から8に増える。
クラスAはバックグラウンドの数以上には設定できない。またスプールは1で固定となっている。

また[操作モード]入力項目で、一覧表示(F4)も可能

以上で操作モードの登録は完了。

タイムテーブルの割当

「操作モードとインスタンス更新」(RZ04)初期画面から、[操作モード]→[タイムテーブル] を選択し、「操作タイプセット表示/更新」(SM63)
タイムテーブルは2つあり、例外操作の方が優先順位が高い。 これは月次処理などの日々の運用ではない場合などに用いる。

[変更]ボタンを押すと、タイムテーブルが表示される。 なお表側の 「==>」は現在の時刻を示している。

[編集]→[時間期間]→により時間の幅を 15、30、60分刻みに設定可能。
時間の指定は、開始と終了の「開始/終了時間」をクリックし[割当]ボタンを押す。 操作モード名を入力すれば割当は終了。
[割当解除]解除はフォーカスがある行に割り当てられている全操作モードを解除する。
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