R/3 NT インストール

この資料では SAP R/3 のインストールについて簡単にまとめている。 R/3 のキットには DBMS も添付されているため、OS のインストールが済んでいれば R/3 のキットと電卓程度を準備しておけばいい。

今回受講したコースでは NT/ORACLE で、セントラルインスタンスのみの設定であったので、 この資料もその内容に準拠している。なお NT はスタンドアローンで、ドメインには参加していない ものとする。 インストール手順としては以下のとおり。

インストール計画立案

インストールに際して決定し次の事柄を事前に決定しておく。
  1. システム名、インスタンス番号の決定
    SAP R/3 のシステム名は英字で始まる3文字の英数字。インスタンス番号は 00 から 96
  2. ストレージ設計
    SAP R/3 はそのほとんどが DBMS 内部に DB データとして格納されているため、DB の設計 がほとんどのストレージ性能を決定する。

ストレージ設計

ストレージ設計では OS 上に展開されるファイルツリーと、DB に保持される内容の2つがある。 また性能を考慮するならば、次の項目は別の物理ディスクに展開されるべきである。
  1. OS SWAP ファイル(仮想記憶)
    このファイルは「主記憶の3倍 + 500MB」で、最低でも 1.25GB 以上が必要。
  2. オンライン Redolog ファイル
    ORACLE のトランザクションログ。
  3. オンライン Redolog ミラー
    Redolog は重要なので、ミラーを別のディスクに置くことが推奨されている。
  4. オフライン Redolog ファイル
    Redolog はいくつかのファイルが複数存在しており、1つが一杯になると順次切り替えて 使用される。このとき空きがなくなると先頭のものを上書き使用する(ラウンドロビン)
    オフライン Redolog は、この上書きによりオンライン Redolog が消失するまえにバックアップ として取得されるものである。
  5. テーブルスペース
    データベース本体の内容が記述されるファイルで、現行バージョンでは 7GBを超えている。
  6. その他
    あまり性能には影響しないため、上記のファイルと同じ場所に記憶されてもよいもの
以下にこれらの内容をまとめる。なお容量は(MB)単位で、日本語をインポートする場合は、 ノートを参照し必要分を追加すること。 管理ユーザのホームディレクトリORACLEのホームディレクトリ
ファイルパラメータ名容量(MB)備考
仮想記憶ファイル
PAGEING 1250 or 主記憶x3+500大きいほうを採用
実行イメージ、定義ファイルなど
SIDadm
20
Drive:\ORANT 40
SAPLOC 250インスタンスデータ、ワークファイル
SAPMNT 300R/3 実行イメージ、共通データ
アーカイブファイル
saparch 300ORACLE Offline REDO log
トランザクションログ
saplog1 41ORACLE Online REDO log group 1,3
saplog2 41ORACLE Online REDO log group 2,4
ミラートランザクションログ
saplog1m 41ORACLE Online REDO log group 1,3 mirror
saplog2m 41ORACLE Online REDO log group 2,4 mirror
テーブルスペース
OraTspSet#1200SYSTEM
200ROLL
100TMEP
336BTABD
114DDICD
20CLUI
37DOCUD
30LOADD
OraTspSet#21780ES31HD
OraTspSet#31056ES31HI
OraTspSet#4466POOLD
324STABD
45PROTI
123DDICI
95SOURCEI
OraTspSet#5434BTABI
392POOLI
107CLUD
68EL31HI
30LOADI
OraTspSet#680PROTD
511EL31HD
170SOURCED
230STABI
24DOCUI
2USER1I
2USER1D
その他 DB
sapreorg 600ORACLE Reorganisation
saptrace 20ORACLE Tracefile
sapbackup 100ORACLE backup
sapcheck 20ORACLE check
sapstat 10ORACLE status file

OS 設定

OS では次の設定が必要となる。
  1. ユーザ作成
    SAP 管理ユーザ SIDadm, SAPサービスユーザ SAPServiceSID の作成。
    Administrator で Logonし、[スタート]→[プログラム]→[管理ツール]→[ドメインユーザマネージャ] を起動し、作成する。
    留意点:
    両ユーザともパスワードを設定すること。SIDadm はホームディレクトリを設定する。 また SAPService は
    • □「次回ログオン時にパスワード変更が必要」をチェックしない
    • ■「パスワードを無期限にする」にチェック
    としておく方がよい。
    さらに先に作成したユーザは次のグループに所属している必要がある。

    • SIDadm
      ローカルシステム管理者(Administrator)
    • SAPServicesSID
      ローカルシステム管理者に加え、権限で「サービスとしてログイン」を追加する。

  2. ファイルシステムの作成
    ストレージ設計に基づいてファイルシステムを作成する。
    ファイルシステムは NTFS とし、各ディレクトリ(SIDadm のホームを含む) はフルコントロールになっていなければならない。
    設定にあたっては[スタート]→[管理ツール]→[ディスクアドミニストレータ]を用いるとよい。
  3. 仮想メモリ
    仮想メモリのページファイルサイズは最低でも、次の計算式以上を割り当てる。 また最低でも 1.25GB 以上必要。
    主記憶 x 3 + 500MB
    [スタート]→[設定]→[コントロールパネル]から「システム」アイコンをダブルクリックし設定 するとよい。
  4. サーバの最適化
    「ネットワーク」アイコンから「サービス」タグの「サーバ」アイコンをダブルクリックし、 最適化の「●ネットワークアプリケーションのスループットを最大にする」を選ぶとよい。
今回はスタンドアローンシステムなので、「セントラル移送ホスト定義」共有ディレクトリ (\usr\sap\TRANS)は作成しない。 システムを変更したので、ここで一端リブート(できれば電源も落とす)する。

ORACLE インストール

SIDadm で NT にログオン。 SAP R/3 のキット CD 「ORACLE RDBMS」をセットし、ORAINST を起動する。 ORACLE のホームディレクトリを作成する。このディレクトリは 40MB以上の領域が必要で、
Drive:\ORANT
となる。
ORAINST は CD Drive:\NT\NT_AXP\733\INSTALL 下にある。
基本的に全てデフォルトを採用するが、ORAINST は一旦実行するとその経過をファイルに記録するた め、インストールに失敗し再実行するときなどは 注意(前回誤って指定した内容がそのまま採用されるので)が必要である。
  1. Language 選択
    ENGLISH_SAP を用いる
  2. ORACLE Installation Settings
    会社名の確認
    ホームディレクトリの設定(この章の最初に作成したディレクトリを指定)
  3. Oracle 7 Server
    Customer Installation
以降はデフォルト( OK を押すだけ )で処理される。必要なソフトの選択などは SAP R/3 用に アレンジされているのでイジらないこと。

インストールが完了したら、ORAINST を終了し、一旦リブートする。
この時システム構成によっては Oracle のパッチなどがあるのでノートを参照すること。

SAP インストール

ユーザ SIDadm でログオンし、“SAP KERNEL” CD をセット。 CD-Drive\NT\ALPHA(or I386)\R3INST.EXE を実行する。
  1. SID Selection
    SIDを入力する。
  2. Confirm Installation
    インストール先を確認し、[ OK ] を押す。この後 CD が動作、ファイルのコピーが 始まる
一旦 R3INST.EXE は終了し、スタートメニューに「SAP R3」が追加される。

続いて、メニューからインストールを続ける。

  1. 起動
    [スタート]→[プログラム]→[SAP R3]→[R3 Inst]を起動する。
  2. SID Selection
    インストールする SIDを入力。
  3. Application Server
    今回は自分自身(セントラルインスタンス)を指定して [OK]
  4. New or Existing Central Instance
    "Create a New Central Instance" を選択すること
  5. Cenral Instance
    SID, Memory, DBMS host を確認し [OK]
    大文字・小文字は区別されるので注意すること。
  6. Service Account
    事前に作成したサービスアカウントユーザを指定。
    ドメイン管理下の時は DOMAIN\SAPServiceSID
    ワークグループ(スタンドアロン)の場合は HOST_NAME\SAPServiceSID
  7. Required Disk Space for the Application Server
    ストレージ設計で分類されたファイルをディスクに割り当てる。
    saparchi, oratsp#1 などが表示されているので、そこにフォーカスを当て、デバイス名 D,E…を指定する。
  8. インストール開始
    Enter(../icons/Enter.gif)または [Do it] によりインストール開始
この作業で、Oracle 上にテーブル領域が確保され、必要なワークディレクトリが登録 される。

データベースの構築とロード

つづいて、SAP のデータベースを構築する。この作業は数時間(この環境では6時間ほど) かかる。 また CD を2枚用いるので、事前に CD 1枚をディスクにコピーし、一気にインストールする 方法が望ましい。
"DB-EXPORT 1/2"をセットする。 GUI によりインストールするので、特にポイントとなる点のみ解説する。
  1. SAPFS.INF の編集
    事前に見積もった内容にしたがって、SIDadm のホームディレクトリにある SAPFS.INF を修正する。必要な修正個所は 日本語 Import に伴うディスク領域の拡張だけ である。なおファイルフォーマットの都合上 NotePad は使えないので Wordpad または SAPPAD を使用する。
    例
    	[OraTspSet#1]
    	SYSTEM=200
    	ROLL=200	
    	TEMP=100
    		↓
    	SYSTEM=240
    	ROLL=220	
    	TEMP=110
    
  2. R3インストーラの起動
    再び[スタート]→[プログラム]→[SAP R3]→[R3 Inst]を起動する。
  3. SID Selection
    SIDを指定する。
  4. R3INST for Windows NT - Local Drives
    メニューの [New] を指定、Database Server を選択する。
  5. Install
    "Standard installation" を選択する。
  6. Required Disk Sapce for Database Server
    前回の Install 同様、各 SAP ファイルをドライブに割り当てる。
  7. CD のコピー
    「1枚目のエクスポートの内容をハードディスクにコピーする」、 「データベースのロード中にCD を切り替える」という旨のメッセージが表示されるので、 コピーの方を選択する。このとき CD 1/2 は \ORACLE\SID\SAPREORG\EXPCD1 にコピーされ、続いて CD 2/2 をセットするように 指示がある。ここで継続すれば、途中でオペレータ介入なしに DB のロードが行われる。
  8. CPU 依存ロード
    基本的なロードが完了すると、CPU 依存となるデータのロードを要求される。 CD "REPORT LOAD" をセットし、"File Open Dialog" に対し CD-Drive:\Data\Exnti000.toc を選択し [OK]
  9. 他言語 Import
    他言語をインストールする場合は、「他言語 Import」に関するメッセージに対して "Yes" を指定。
この時点で英語版(標準)R/3は利用できるので、動作を確認すること。
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