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ベーシス・システムとは?

この章ではベーシス・システムの位置づけと役割を解説する。

ミドルウエアとしてのベーシス

ベーシスシステムは R/3 を異なるプラットフォーム、DBMS 上で動作させるための ミドルウエアとして動作する。
ABAP は R/3 の開発言語、システム記述言語でインタプリタ形式である。 全ての R/3 アプリケーションは ABAP で記述され中間言語形式で保存されており、 ベーシスの実行エンジンにより動作する。

現在対応している OS や、DBMS については SAP 概要の1章で解説済みなので割愛
さらにベーシスの内部構造は次のような機能からなる。

クライアント・サーバ

SAP R/3 はクライアント・サーバとよばれる構造をとっている。クライアントととはサービス を受ける側であり、サーバはサービスを提供するものである。
私はコーヒーがすきだが、コーヒーというサービスをもらうためにコーヒーサーバの前に行き コーヒーを入れる。このとき私自身はコーヒーサーバの客。つまりクライアントである。 同様にコンピュータでも、たとえば電子メイルというサービスを受ける Outlook や WinBiff などのクライアントと、メールを配信しているメールサーバ(Exchange Server とか SMTP Sendmail Server とか)が存在する。

クライアントとサーバは、同じコンピュータで動作しても良いが、R/3 など最近の流行として はネットワークを介して別々のコンピュータを利用する形態が多い。
R/3 が推奨するコンピュータの利用形態は3種類のサーバをそれぞれ別のコンピュータに割り 当てる形式である。
この図は1つのデータベースサーバ、複数のアプリケーションサーバ、 そして PC を中心としたユーザ数分のプレゼンテーションサーバを意味している。 なお SAP R/3 ではデータベースサーバは1つだけである。
余談だが、普通サーバは大きなコンピュータで動作すると思われがちだが、 SAP GUI は PC で動作する「プレゼンテーション・サーバ」であるし、UNIX で多く用いれて いる X Window System は、その表示機能が X サーバである。 「サービスを提供する側をサーバと呼ぶ」という原則からは当然のことで、この場合クライア ントはサーバを利用している「人間」と考えると分かりやすい(たぶん)

データベース

現在 R/3 で利用できるデータベースは RDB(Relational Data Base) だけであるが、 ネットワーク型や構造型のデータベースは今日ほとんど利用されていないので、 とくに問題となる事は考えられない。

SQL

RDB はデータをすべてテーブル(表)と呼ばれる2次元配列の単位で扱い、この時 検索やデータの変更、挿入といった操作を行う言語を SQL(Structured Query Language)と呼ぶ。
SQL は ISO-9075 で国際規格として標準化されているが、各DBMSベンダーが差別化を 図るため微妙に拡張しているのが現状である。
このため R/3 では、SQL を2種類用意している。
  1. Open SQL
    どの DBMS でも動作する SQL。各社の共通項を用いるので、DBMS の固有機能や チューニングは行われない。
  2. Native SQL
    利用している DBMS の SQL を直に利用する手法で、DBMS 独自機能を利用できるが、 DBMS に依存し、他の DBMS への展開やバージョンアップに対応できない。
ちなみに DB にアクセスし、テーブルの内容を参照、変更追加するような言語の補集合 を DML(Data Manipulation Language)、テーブルその物のを定義する補集合を DDL (Data Difinition Language)と呼ぶ事があり、「リポジトリの操作」は DDL である とも言える。
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