[ ↑ ]目次[ PREV ]カスタマイズと開発
[ NEXT ]
カスタマイズと開発
SAP R/3 は、それがそのまま生きた企業モデルとして動作している。
機能面だけを考えれば従来のパッケージのような顧客毎の修正は不要であるが、
実際にはデータを含め修正が必要となる。
R/3 における、修正方法は次のように分類される。
- カスタマイズ
- R/3 カスタマイズ・ツールによりパラメータの修正とデータ登録を行う。
- 標準的な修正方法なので SAP がバージョンアップ後の動作を保証している。
- エンハンスメント(User Exit)
- 個々のトランザクションにつけられた User Exit と呼ばれる接続点を経由して
プログラムを追加する方法。またはリポジトリに対するカスタマイズと言われる。
- これも SAP がバージョンアップ後の動作を保証している。
- カスタム開発(Add on)
- プログラムを追加開発する方法。一般的に用いられているが、SAP はバージョン
アップ後の動作を保証していない。
- モディフィケーション
- R/3 自身が ABAP/4 で記述されていることから、R/3 自身を修正してしまう方法。
- 最も危険なアプローチといわれている。
全ての開発は(BAPI などにより R/3 の外での開発は除く)ABAP/4 ワークベンチ(以下
ABAP WB)によって行われる。
ABAP WB は GUI ツールで、プログラム作成、コンパイル、デバッグ、データ定義、参照
プロジェクト管理などの機能集合である。
アプリケーション・プログラム
ABAP WB で開発するプログラムは大きく2つに分類される。
- レポート
- 基本的には DB の更新をせずに、参照だけを行うプログラム。
- 種々のデータを抽出してレポート(帳票)を作成する。
- ダイアログ
- 対話式にデータを参照・修正するプログラム
- Dynpro と呼ばれる画面毎のプログラムを作成し、
ステップ単位で制御される。
プロジェクト管理
R/3 ではワークベンチ・オーガナイザによりプロジェクト管理を行う。
- オブジェクト登録
- 開発対象となるオブジェクトをピックアップする。
- 開発クラスの割当
- 開発オブジェクトの集合である開発クラスを定義し、
オブジェクトを登録する。
- 変更依頼の割当
- 変更依頼を作成し登録する。
変更依頼はプロジェクトに対応していて、業務プロセスと時間依存の開発作業を
結合する(いわゆるプロジェクト管理)。
- 多重更新に備えて対象となるオブジェクト全てがロックされる。
- タスクへの自動割当
- 担当者の割当と同様の意味。作業レベルでオブジェクトを分断し、
担当者を割り当てる。
- タスクのリリース
- 開発が完了したタスクは、担当者がそのオブジェクトをリリースする。
- この時点でタスクは作業依頼に移動する。また履歴管理も行われる。
- 変更依頼のリリース
- 全てのタスクがリリースできてプロジェクトが完了すると、プロジェクト
マネージャが変更依頼をリリースする。
- この時点でオブジェクトのロックは解除される。
- 移送
- 移送は変更依頼単位で行う。
[ ↑ ]目次[ PREV ]カスタマイズと開発
[ NEXT ]