私思うにこのアーキテクチャは特に斬新なわけではなく、10年以上前の汎用機で
OLTP を実装した時の典型的なパターンである。
(私の知っている日立の HITAC で動作していた DCCM2、DCCM3などを意味している。
なお当時は OLTP という言葉はなく DB/DC と呼んでいた)
これは従来、業務に応じて別々に作られたアプリケーションがそれ相互での連携がなく、
同じようなデータを違うソフトで別々の部署が入力するという手間やムダを、
1つのデータベース、同じソフトというアプローチで解決しようとしたという事である。
SAP R/3の特徴
SAP R/3 は IBM メインフレームで動作していた R/2 を UNIX、WindowsNT
にポーティングし、Client/Server や多国対応にしたものである。
いくつかある R/3 のセールスポイントを簡単に列挙すると
以下のようになる。
オープンシステム
OS は主な UNIX システムと AS/400、WindowsNT が利用できる。
また DBMS も何種類か用意されている。Network は TCP/IP を基調として
OS に任せる形式となっている。
OS からの独立性
UNIX を用いれば Open System というように思われてしまうが、この Open
とは本来、必要ならばインプリメントレベルまで掘り下げて確認できるという
事で、例えばソースコードを参照することが可能な事だと思う。
だからこそ「包み隠すことが無い = 開放:Open」となる。
R/3 では OS から独立した部分については ABAP と呼ばれる言語で記述されて
おり、このソースは公開されていることから私の思う Open は多少実現されて
いる。
DBMS からの独立
DBMS も今や RDB 型一色なので、メーカが違ってもさほど影響が出ない。
R/3 では次の DBMS が利用できる。Sybase が対応してないのはロッキング・
メカニズムに特徴があるから、らしい。(ORACLE との差別化のため Page
Lockに固着するあまり、R/3 が載らない。これはゴシップ)
R/3 が提供する Kit には DBMS が含まれ、ライセンス料金も一括して SAP に支払う形式になって
いる。DBMS のバージョン・アップに伴うサポート切れにはアップグレードまたはホットパッケージ
と呼ばれる差分 Kit が SAP より提供される。
外部接続
Open System にひと括りされる事が多いが、実際に Open といった点は OS
独立で述べた通りである。ここでは少し意味合いをかえテキストではオープン
システムとして解説されてるトピックをまとめる。
対話処理
R/3 はシステム管理を含め、GUI により殆どの作業を行うことができる。
また1画面の処理が原則として完結するよう設計されているため、例えば
伝票入力の途中で他の端末に処理を移動するといったことができる。
またトランザクションによる更新は即座に反映される。これを SAP は
リアルタイム処理と呼んでいるが、情報工学などでいうリアルタイム処理
とは違うので念のため。(だいいち UNIX はリアルタイム OS では無いので
本来リアルタイム処理はできない。)
グローバル対応
R/3 では、種々の言語を扱えるだけではなく、通貨や税制といった国別に異なる
環境を扱えるようにしている。
システムのデフォルトはドイツ語で、英語も基本的なシステムに添付されている。
統合性
財務・会計、販売管理、生産管理といった機能別に分割したモジュールを
組み合わせ、(SAP曰く全ての)企業のニーズに対応できる。
これらのモジュール(機能)は業務プロセスに応じて相互に接続され協調する。
また R/3 は唯一のデータベースを用い全てのデータを1個所に蓄積するため、
あらゆる方向から分析可能。
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