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1.2 Linux

UNIX は当初、研究対象とし無償でソースコードが公開されていましたが、 後にAT&Tが著作権(ライセンス)を行使するようになったため自由に参照することが できなくなりました。
そこで教材として利用可能、つまりライセンスフリー、再配布できるOS登場への機運が たかまり、幾つかの研究成果物が誕生しました。
MINIX
オランダのアムステル大学でOSに関する講座をもっていた、Andrew S. Tanenbaum教授が 教材として提供できるよう、UNIX風OSを新たに書き起こしました。 このOSはMINIXと名付けられました。機能は限定されていましたが、 OSの仕組みを研究するには非常に優れた教材でした。 ただし完全なフリーではなく、教授の著書におまけとして添付される内容だったことと、 機能と実行環境に制限があったことも事実です。

このMINIX をより実用的なOSにしようと、当時ヘルシンキ大学の2回生だった Linus Torvalds が1990年頃に個人の趣味として開発を始めました。 1991年になると、どうにか動作可能なレベルに達したため、 Torvalds はインターネットを通じて公開し、 同好のエンジニアや研究者とともに改良を始めました(1991/08/25)。
Linus がいちから作った UNIX または MINIX のクローンなので、 Linux と名付けられました。

ディストリビューター
狭義に Linux はそのOS本体(カーネル)をさします。カーネルだけではアプリケーションを動作させることができないため、利用するには種々のユーティリティやサーバ機能が必要となります。 そこでディストリビュータと呼ばれる企業・団体が、必要な周辺ソフトウエアを用意し、 セットで提供(販売)しています。

Linux とその周辺
Linux について、MINIX の作者である A.Tanendaum から型遅れの思想である点や、 付け焼刃な設計であることなど批評された事がありましたが事実上、実用的な機能を Free で 提供できる点は非常に人気を集めたのは事実です。 また Tanendaum 氏が指摘したようなマイクロカーネルOSはチューニングが難しく、 実用レベルでの成功例は非常に少ないと作者は思います。Amiga, NeXT, OSF/1 ぐらいでしょうか NeXT, OSF/1 とも CMU の Mach Kernel を手本としていますが、チューニングには非常に時間 を費やしましたし、それらも現在は他のOSへ移管されつつあります。
Windows NT も最初の 3.x シリーズではマイクロカーネルを意識し、サブシステムを多く作成 しましたがその後よりモノシリックな(伝統的な)OSに変化しているように感じます。

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* この話しはもう30年ほど前に作者が、先輩や同僚から聞いた噂話が中心なので 出展は怪しいことを追記しておきます。

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